Up 入力テクストの軌道の惰性 → 応答生成 作成: 2025-06-20
更新: 2025-11-05


    ChatGPT は,ユーザの入力したテクストに,論理的で構成的な応答を返す。
    この応答は,「1トークンずつ生成」のアルゴリズムになっている。

    通説は,「1トークンずつ生成」を,
       「次のトークンを確率で選ぶ」
    と説く。
    これは,つぎの立場である:
     1゜ トークン列 X に対し,「X の次のトークンになる確率」が,すべてのトークンにおいて定まる。
     2゜ 「1トークンずつ生成」 は,この確率を用いている。

    しかし,1゜はあり得ない。
      例. 「わたしは今日」の次が「山」になる確率は?
    そして,2゜のやり方で<論理的で構成的な応答>が生成されるわけがない。


    ChatGPT の<論理的で構成的な応答>に対する説明は,つぎの他には無い:
     1゜ 応答テクストは,生成する前に構想されている。
     2゜ 「1トークンずつ生成」 は,構想されたテクストを書きだしている──構想とフィードバックしつつ。

    この「構想」は,自ずと生じる/やってしまう/できてしまう,というものである。
    顧みれば,ひとが文章を書くときも,多分にこれである。

    また,オニグモが巣網を張るのとも,似ている。
    オニグモは,場所の如何を構わず網の生成を行動するわけではない。
    網を張るのによい場所が択ばれている。
    これは,「網は先ず構想され,そして生成される」ということである。


    「構想」は,どう説明できるか?
    説明は,「テクスト軌道の惰性」しかない。
    入力テクストをなぞっていると,その終端で「テクスト軌道の惰性」ができている。
    この「惰性」は,つぎのトークンに向かわせるといったレベルの惰性ではなく,これから生成するテクストを定めてしまう惰性である。
    この「惰性」が,応答テクストの「構想」ということになる。

    テクスト生成を「構想/計画して書く」と表現するときは,「構想/計画」は「テクスト軌道の惰性」のことである。
    「考えて書く」と表現するときは,「考える」は「テクスト軌道の惰性」のことである。